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GMAのこれまでとこれから:GMAのクリニカルパール探求

Adacolumn Clinical Pearl

アダカラムインタビュー記事シリーズ

GMA 20年をこえる臨床知見からの提言

全国の先生方より、消化器および皮膚領域における最新の診療状況を踏まえた上で、様々な視点から顆粒球吸着療法(GMA)の日常診療における活用方法や工夫、メリットや課題についてお話いただきます。

IBD:炎症性腸疾患、UC:潰瘍性大腸炎、CD:クローン病、PP:膿疱性乾癬、PsA:乾癬性関節炎(関節症性乾癬)

高知県アダカラム
インタビュー記事シリーズVol. 29

IBD患者に対する長期サポートの現況とGMAに期待する役割

須崎くろしお病院 消化器内科
一森 俊樹 先生

近年IBDに対する治療の選択肢が広がっています。しかし、どのような治療においても一定の頻度で副作用発現が認められるため、効果と安全性のバランスを考慮した選択が必要です。IBD治療は長期に及び、医師は患者の人生に寄り添うことになります。そこで今回は、IBD治療における留意点とGMAに期待する役割、またIBD患者の長期サポートにおける医師としてのやりがいについて伺いました。

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高知県におけるIBD診療の中核施設
 須崎市は高知県の中央部に位置する人口約2万人の市です。当院は救急から慢性期医療、リハビリテーションまで行う158床の病院で、須崎市において基幹病院の役割を果たしています。母体となる医療法人では介護老人保健施設やグループホームも運営しています。

 私が所属する内科では、消化器分野に限らず内科全般の疾患を対象としています。炎症性腸疾患(IBD)についても、特にIBD外来を設けているわけではなく、患者さんが来院すれば随時診療を行っています。現在のIBD患者数は、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)がそれぞれ約100名程度です。

 高知県にはIBD専門医が少ないのですが、私は社会保険中央総合病院(現・東京山手メディカルセンター)勤務時代に積んだIBD診療の経験を、高知県で活かしたいと考えています。20222月現在、CCFJ(日本炎症性腸疾患協会)の診療医リストに高知県で記載されているのは私一人ということもあり、高知県内の基幹病院より重症および劇症の患者さんが紹介されてくる場合も少なくありません。私としては、難治化を回避するためにも、ステロイドが適応になる前後のタイミングで紹介していただければと希望しています。

 

IBD治療(特にUC治療)の進め方、留意点
 UC5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤による治療を基本とし、次にステロイド、さらにそれでもコントロール不良の場合は分子標的薬を考慮するというstep-up療法を基本としています。一方、CDではstep-up療法に加え、将来難治化が予想されるような場合は、top-down療法も検討します。

 5-ASA製剤には錠剤・顆粒、注腸剤、坐剤があり、種類も豊富です。私は各内服薬を同等に位置付けており、ある内服薬でコントロールできなかった場合は、即座に種類を変更するのではなく、注腸剤や坐剤を併用するなどして最適化を図っています。5-ASA製剤に関しては近年不耐症が増えてきたような印象がありますが、従来は気付かなかっただけで、現在は不耐の認識が広がって来たことで顕在化したのではないかとも考えています。

 ステロイドは3040mgで開始し、UC患者さんの症状に応じて12週ごとに10mgずつ減量し、20mg以下になったら5mgずつ減量します。COVID-19が流行している現状においてステロイドの使用が懸念されていますが、まずは炎症を抑えることが重要であるため、必要と判断した際は適切量を躊躇なく使用しています。

 生物学的製剤(Bio)、特に新規のBioは使用経験がまだ不十分なので評価が難しいのですが、これまで報告されている成績から、難治例の中でも中等症に対して抗α4β7インテグリン抗体製剤、重症例に対して抗TNF-α抗体製剤を使用する場合が多い印象があります。ただし、日常生活の状況を考慮して、自己注射が可能な製剤を選択することもあります。いずれにしても治療法を選択する際はSDM(共同意思決定)を重視し、患者さんとよく話し合って方針を決めるようにしています。

 

須崎くろしお病院におけるGMAの実際
 顆粒球吸着療法(GMA)の安全性について、アダカラム®の添付文書には、承認時までの臨床試験(対象:UCCD、膿疱性乾癬、関節症性乾癬)および市販後の使用成績調査(対象:UCCD)における主な副作用は頭痛や嘔気/悪心であったこと、使用成績調査において発現した副作用はいずれも軽度から中等度のもので、重篤なものはなかったと記載されています。また、承認時の臨床試験においても重篤な副作用は報告されていません1-4)GMAは穿刺の際に血管が確保できれば施行が可能であることが特徴の一つである治療法と私は考えます。

 当院では5-ASA製剤のみでコントロールできない場合や、感染症を合併している、あるいは高齢者など特殊な背景からステロイドを投与しにくい場合には、その段階でGMAを選択肢の一つとして勧めています。また国内での報告もありますが1,5)Steroid-sparing effectを期待してGMAを併用することもあります。薬物療法との併用が可能である点においても、非薬物療法であるGMAの意義があるのではないでしょうか。

 一方、IBD患者さんにGMAを勧める際は、効果と安全性の説明に加え、太い針を2本刺す必要がある点を必ず話します。疼痛を心配される場合には、穿刺の前にテープの局所麻酔剤を貼って痛みを和らげるといった工夫を行っています。また、UCに対するGMAの多施設非盲検無作為割付試験において、週2回の施行の方が週1回に比べ、寛解率は高く、寛解導入までの日数を短縮できることが示されており【】、当院でも集中治療(GMA 2)を実施しています。紹介患者が多く、遠方から通院される方も少なくないため、負担軽減に向けて地元の病院と連携してGMAを施行していただくこともあります。

 

経験に基づく患者サポートおよび医師としてのやりがい
 実は私自身、16歳の頃にCDを発症しました。したがって、患者さんが訴える症状や日常生活で困っていることなどは、よく理解できていると思います。一方、自分自身の体調悪化によって診療ができなくなった際は、高知県のIBD診療体制が当時必ずしも盤石ではなかっただけに、患者さんにご迷惑をかけたこともあります。近年は高知県でもIBD診療に一生懸命取り組んでくれている若い医師が出てきており、非常に心強く思っています。

 IBD診療は、医師として非常にやりがいのある分野です。中学生や高校生という若年で発症することも多く、そこから患者さんとの関わりが始まり、成長するにつれて進学や就職、結婚といった様々なイベントに向き合います。治療を続けながら希望校に合格したとか、仕事がうまくいったという話を聞くとこちらも嬉しくなります。長期にわたって患者さんの人生に寄り添いサポートをすることは、医師として強いやりがいを感じますので、若い先生方もぜひIBD診療に取り組んでいただきたいと思います。

須崎くろしお病院_一森先生_図表.jpg

1) 下山 孝 ほか:日本アフェレシス学会雑誌. 199918(1)117-131.
2) Fukuda, Y. et al.J Gastroenterol. 200439(12)1158-1164.
3) Ikeda, S. et al.J Am Acad Dermatol. 201368(4)609-617.
4) Kanekura, T. et al.J Dermatol. 201744(12)1353-1359.
5) Iizuka, M. et al.:Intern Med. 201756(20)2705-2710.